遠くを見た時
遠くを見た時は、網膜に焦点が合っていないので
網膜に焦点を合わせるため凹レンズが必要になります。
近くを見た時
近視の程度によっては、
近くを見た時は調節しないで裸眼で見えます。
近視が強い場合は、近づければ見えます。
近視は遺伝因子と環境因子があります。
近視が進んだ時は、以下のふたつが考えられます(白内障、高血糖による近視化などは除く)。
調節緊張症、調節痙攣
“調節痙攣は毛様体筋の痙攣状態で、調節緊張と真の調節痙攣に分けられます。調節緊張に近見反応による輻湊(目の内よせ)過多、縮瞳を伴うものを真の調節痙攣と言います。”と教本には定義されています。
梶田は、調節緊張、調節痙攣は毛様体筋緊張、毛様体筋痙攣であり、毛様体筋が緊張した後、さらに緊張状態が異常に強くなると痙攣になると報告しています。
長時間近くを見て調節をしていると、毛様体筋の緊張が取れなくなり、遠くを見た時も水晶体が厚いままで、調節をした状態になっていることを調節緊張(病名にすると調節緊張症)と言います。
仮性近視と言われるもので、治療により改善が図れる可能性がある近視です。
近くを見る時、物体との距離が近い程、焦点が網膜から遠ざかり大きな調節力が必要になるので、調節緊張症になりやすくなります。さらに悪化すると真の調節痙攣になる可能性があります。
調節緊張症(調節痙攣)
長時間の近業作業
無限遠を見た時も毛様体筋は緊張し、水晶体は厚いままになっているので、網膜の前で焦点を結びます。
調節緊張症、調節痙攣は、子供の場合は視力低下の原因になります。
大人の場合は視力低下以外に眼精疲労、頭痛、肩こりの原因になります。
(子供でも大人のように視力低下以外の症状が出ることもあります。)
スマホ内斜視は、近見反応(調節、縮瞳、輻湊)に伴う調節、輻湊が関与していると考えられる急性の内斜視です。子供から若い成人に多く、近い距離でのデジタルデバイスの使用で起こる可能性があります。
調節緊張症、調節痙攣は治療の必要があります。
- 近業時は姿勢を正しく、視距離を30cm以上離す事がとても大事です。
- 調節麻痺剤などの点眼薬を処方します。(保険適応)
- 目に負担のない適切な眼鏡、コンタクトレンズを装用します。
眼軸長伸長
角膜から網膜までの長さを眼軸長といい、“近視が進行する”というのは眼軸長が伸展することを言います。
眼軸長が伸びると、焦点は網膜から遠ざかり、近視が強くなります。伸びた眼軸は元には戻りません。
発達過程にある子供は、身長のように目も少しずつ大きくなり、正常でも眼軸は伸びますが、視覚の刺激があると正常を超えて眼軸が伸びていく可能性があります。
眼軸長が伸びる原因として、調節ラグ理論、軸外収差論などが言われています。
1.) 調節ラグ理論
近くを見た時は、生理的に近見反応(調節、縮瞳、輻湊)が起こり縮瞳する為、焦点深度が深くなります。その為、像のボケを自覚しないで見える範囲が広がります。
近くを見た時に調節をしますが、網膜まで焦点を合わせず、網膜後方のズレたところにピントを合わせる(調節ラグと言います)と自覚的にはボケを感じませんが、この焦点のズレ(調節ラグ)が長時間続くことで網膜が後方へ伸展していくという説です。
物体との距離が近い程、調節ラグは大きくなります。
調節ラグ理論
網膜まで焦点を合わせない
2.) 軸外収差論
周りから入ってきた光が網膜の後ろで焦点を結び、周辺部の網膜後方へのデフォーカス(ぼやけ)が起こることによります。後方へのデフォーカスが起こると、網膜が焦点を合わせるかのように眼軸が伸びていくという理論です。
軸外収差論
調節ラグ理論による眼軸長伸長、調節緊張症(調節痙攣)は、共に近い距離で見ることで起こりやすくなると考えられます。
過矯正眼鏡装用
過矯正眼鏡、過矯正コンタクトレンズを装用している人は、遠くを見た時も既に調節しているので調節緊張症(調節痙攣)と言えます。
子供の場合は、過矯正眼鏡装用で眼軸長が伸びていく可能性もあります。
眼鏡の度数を調整する必要があります。
過矯正眼鏡装用
近視は遠くを見た時、網膜の前で焦点を結びます。
凹レンズで矯正して網膜にピントを合わせます。
凹レンズが過矯正になっていると網膜の後ろで焦点を結びます。遠くを見た時も毛様体筋を緊張させ水晶体を厚くしてピント合わせをします。
屋外活動は近視の進行を抑えると言われています。
近視予防の為、1日2時間の屋外活動が推奨されています。
近視は緑内障や網膜剥離などのリスクになります。強度近視になると、近視が原因で近視性緑内障、近視性黄斑症などの色々な目の病気を起こすことがあります。
近視を発症させない、進行させないことが大事です。